二世帯リフォームには、資金のことや間取りのことなど、一般のリフォームよりも考えることが多くあります。どのように進めていけば、お互いにストレスやトラブルのない二世帯リフォームが叶うのでしょうか。今回は、二世帯リフォームの大まかな進め方を解説。知っておきたい注意点もご紹介します。

ステップ1.家族で話し合う

まず、それぞれの家族が、これからどのように暮らしていきたいかしっかり話し合います。現在のことだけでなく、将来の家族構成の変化など長い目で見て考えることが大切です。

建て替えorリフォーム?

二世帯住宅には、建て替えとリフォームという2通りの方法があります。

リフォーム

親の住居や子の住居を作り変えて二世帯住宅にする方法です。構造だけ残して間取りを一から作ったり、一部分だけ手を入れたりと、必要に応じて工事内容を決めます。費用は抑えられますが、土地の形状や場所の条件などによってはできない工事があることも。

建て替え

既存の住宅を一度取り壊して、一から二世帯住宅を建てる方法です。設計プランの自由度は高いですが、費用はかかります。既存の住宅の構造がかなり老朽化している場合、リフォームよりも建て替えが良いこともあります。接道義務をクリアしていない「再建築不可物件」の場合は、建て替えができないためリフォーム一択となります。

二世帯住宅の3つのプラン

二世帯住宅は、大きく3つのプランに分けられます。家族の暮らし方や希望について話し合いましょう。

完全同居型

いわゆるサザエさんのように、親世帯と子世帯が1つの家で暮らすスタイルです。お互いが助け合って、大家族のようにわいわい暮らしたい方に向いています。

部分共用型

玄関やリビングは共有で、水回りは別々にするなど、部分的に共有するスタイルです。家族の希望に合わせてプライバシーを守りながら、費用も抑えられます。

完全分離型

リビングから水回りまですべてを完全に分離するスタイルです。最も同居のトラブルが少ない方法ですが、費用はほぼ家2軒分かかることもあります。

ステップ2.リフォーム会社に相談する

リフォーム会社は、インターネットや雑誌などで情報を得ることができます。業者によってプランや料金も違うため、複数社から見積もりをとってみると良いでしょう。良いリフォーム会社を見きわめるポイントは以下の3つです。

① 地域の業者をピックアップ

家と近いところに事業所がある業者なら、今後も住宅のトラブル時に気軽に相談することができます。その地域で長年営業している業者は、地元での評判も良いということ。しっかりとした施工を続けてきているので、安心して任せることができます。

② 見積内容は分かりやすい?

見積もりにはどのような工事が含まれ、何にいくらかかるのかが明確な業者を選ぶと、追加料金などとられる心配がなく安心です。また、見積書は専門用語なども多く難しいので、わからないことがあれば質問してみましょう。丁寧に説明してくれる業者は安心できます。

③ 口コミ・リフォーム実績をチェック

その地域でのリフォーム実績が豊富で、口コミでの評判も良い業者を選ぶと良いでしょう。その会社のホームページで施工事例をチェックしたり、周りにリフォーム経験者がいれば聞いてみるのもおすすめです。

ステップ3.リフォームのプラン検討・現地調査

家族の希望や暮らし方などをリフォーム会社に伝え、どのような工事をおこなうか決めていきます。プロが相談に乗ってくれるので、リフォームについての知識がなくても大丈夫。家族の要望や夢を伝えましょう。

二世帯住宅では、どのようなローンを組み、親子でどのように出資するかなど資金・予算のこともしっかり考えることが大切です。どのようなプランを組むかによって相続税や贈与税にも関わってきます。リフォーム会社ではお金のことや登記についても相談に乗ってもらえるので、しっかり話しましょう。

リフォームのプランを考えるときには、現在の建物・土地の確認が必須。家の構造や土地の状態を実際にリフォーム会社が調査してから、「どのような工事が必要か」「法的に問題はないか」などさまざまなことを考慮してプランニングします。

ステップ4.契約・工事

どのような工事をおこなうのか、どの設備・仕様を導入するのか、具体的なプランが固まったら、最終的な見積もりを確認。ご予算や内容に問題がなければ、契約して工事へと進みます。きちんと家族の要望が叶えられているか確認し、図面でわからないところがあれば質問しましょう。工事内容にもよりますが、プランニングに1~2ヶ月、工事に2~3ヶ月ほどが目安。リフォーム内容によっては、工事中の仮住まいが必要となることもあります。親戚の家や賃貸住宅、ホテルなど手配しておきましょう。

二世帯住宅へリフォームするときの注意点

二世帯住宅リフォームを検討するときには、資金のことや先々の生活のことについてしっかり決めておく必要があります。

注意点1.登記方法

家を建てると、所有権を登記することになります。二世帯住宅には3つの登記方法があります。

単独登記

二世帯住宅を1戸の物件としてとらえて、親か子どちらか1人の名義で登記する方法です。権利がはっきりしているので売却や賃貸にも出しやすいですが、親が出資しているのに子名義の場合など、贈与税の対象となることも。・共有登記
1つの住宅を親と子で共有しているとして登記する方法です。住宅ローンを利用すると、控除もそれぞれが使えます。出資比率に応じた登記にすれば、贈与税の対象にはなりません。

区分登記

二世帯住宅を別々の住宅として、親と子それぞれで登記する方法です。例えば、1階・2階で別の住居とみなせる場合などで使います。ただし、2世帯分の登記費用がかかるケースや、売却時の注意が必要です。

注意点2.住宅ローン

あとからトラブルにならないよう、しっかり資金について話し合っておきましょう。出資比率は登記にも関わってきます。銀行からの融資を受ける場合、住宅ローンの支払い方法についても相談を。親子でローンを組む場合、親子リレーローンなどを利用する方法もあります。

注意点3.贈与税

二世帯住宅リフォームでは、親名義の家に子の資金でリフォームするケースなど、贈与税の対象となることも。どちらが資金を出して、どちらの名義にするのか、税理士やリフォーム会社などに相談しましょう。

注意点4.光熱費

ガス・電気などの光熱費をどう分担するかについても、前もって決めておきます。どちらかが全額負担する・割合を決めて折半する・メーターを別々に設置して別々に支払うなどの方法があります。メーターを2つつけると基本料金は二重にかかりますが、ストレスやトラブルは少なくなります。

注意点5.プライバシー

二世帯住宅でストレスを抱えてしまう原因は、プライバシーや音問題など。家事のやり方がそれぞれ違うなら水回りは分離する、足音や生活音が気にならないように考えて部屋の配置を考えるなど配慮すると、ストレスの少ない二世帯同居につながります。

まとめ

二世帯リフォームの進め方はイメージできたでしょうか。登記方法や出資比率、贈与税など考えることも多いですが、リフォーム会社にアドバイスしてもらえるので安心してください。家族での話し合いがうまく進まない場合も、サポートしてもらうことができます。まずは地域のリフォーム会社への、現地調査・見積もりなどの依頼から始めましょう。