新築物件に比べてお手頃な値段で、自分好みの住まいが手に入る中古マンションのリノベーション。しかし、なかには構造や規約の関係上、自分の思った通りの工事ができないこともあります。今回は、中古マンションリノベーションで後悔しないために気をつけたい、5つのポイントをご紹介します。

新築物件に比べてお手頃な値段で、自分好みの住まいが手に入る中古マンションのリノベーション。しかし、なかには構造や規約の関係上、自分の思った通りの工事ができないこともあります。

今回は、中古マンションリノベーションで後悔しないために気をつけたい、5つのポイントをご紹介します。

ポイント1.工事できる部分・できない部分

マンションには「専有部分」と「共用部分」があり、リノベーションで変更できるのは「専有部分」だけです。共用部分の範囲はマンションの管理規約をチェックし、わからなければ管理組合に問い合わせます。

工事できる部分=専有部分

購入した部屋の内側部分のことを「専有部分」といいます。

お部屋のドアや壁紙などの内装や、キッチンやお風呂、トイレなどの設備は、基本的にマンション購入者によって工事できる部分です。構造上の役割のない「間仕切り壁」も原則として専有部分なので、管理規約で禁止されていなければ間取り変更もできます。

工事できない部分=共用部分

専有部分以外の、エレベーターやエントランスなどを「共用部分」といいます。マンションの所有者全員の財産なので、勝手に工事することはできません。

自分の部屋の中でも、マンション全体を支えている壁や床などの躯体は共用部分にあたります。隣家との間の戸境壁に穴を開けたい場合など、躯体に傷つけないよう配慮しなければなりません。

バルコニーや窓、玄関ドアなどの変更も、基本的にはNGとされています。

ポイント2.建物の構造によるリノベーションの制限

中古マンションを探すときには、建物の構造も確認しましょう。構造によっては、希望のリノベーションができないことがあります。一般的な鉄筋コンクリート造のマンションの構造は、「ラーメン構造」「壁式構造」の2種類です。

ラーメン構造

ラーメン構造は、中高層マンションに多いつくり。柱や梁で建物を支えているため、構造に関係ない壁を取り払って間取り変更しやすいのが特徴です。

マンションでは隣家との間の「戸境壁」以外は、構造上関係ないことがほとんどです。例えば、リビングと洋室の間の壁をなくして広いリビングにする、バリアフリーのために壁を取り払って広いワンルームにするなど、自由度の高い間取り変更が検討できます。

壁式構造

「壁式構造」は低層マンションに多いつくり。壁や床などの「面」で建物を支えているので、構造上重要な壁は撤去することができません。

柱や梁などの凸凹がないというメリットはありますが、間取り変更の自由度は低くなります。壁式構造で間取り変更したい場合、その壁が外したり移動したりできるか確認しましょう。

ラーメン構造・壁式構造の見分け方

不動産会社からもらえる物件情報には、「RC造(鉄筋コンクリート造)」などの情報は記載されていますが、ラーメン構造か壁式構造かまでは載っていないことがほとんど。

どちらか見分けるには、間取り図をチェックしましょう。物件の間取り図を見て、柱の出っ張りがあればラーメン構造の可能性が高いです。柱の出っ張りがなく室内がフラットな間取り図なら、壁式構造の可能性が高くなります。

ポイント3.マンションの管理規約

もし専有部分の工事で構造にも問題なかったとしても、管理規約によって工事内容が制限されることがあります。物件購入前・工事前には、希望のリノベーションが管理規約で制限されていないか確認し、わからなければ管理組合に相談しましょう。今回は例として、代表的な2つの禁止事項を紹介します。

(例1)床材の変更不可

マンションでは床の遮音性が低いと、上下階で足音などのトラブルに発展しやすくなります。そのため「床材の変更禁止」「フローリングの遮音性能はL-45以上」などの規約が盛り込まれていることがあります。

管理規約の内容によっては、カーペットからフローリングへの変更ができなかったり、希望するフローリング材が使えなかったりするケースがみられます。

(例2)躯体への穴あけ禁止

またよくあるのが、躯体への穴あけ・ビスの打ち込みの禁止。隣の住戸との間の「戸境壁」やバルコニー側の壁など、建物を支えるのに大切な役割をしている部分の壁は、加工すると耐久性低下などにつながるからです。

大きな間取り変更をしたい場合や、戸境壁に造り付けの棚を設置したい場合などは要注意。リノベーション業者に相談すると、二重壁にして対応するなど、管理規約を守った上で可能な工事内容を提案してもらえます。

ポイント4.水回りの移動での注意点

中古マンションのリノベーションで、キッチン・トイレ・お風呂といった水回りを移動させたいというケースもあるでしょう。その場合、床下の配管によっては移動がしづらい場合があります。

工事できる排水管

マンションでは、「PS(パイプスペース)」の中を最上階から最下階まで排水管が通っています。排水管は共用部分のため、勝手に交換することはできません。

しかし、メインの排水管から分岐して住戸内で使っている「枝管」のうち、躯体を壊さずに交換できる部分については工事可能です。そのため、枝管部分の変更のみで叶うなら、水回りの位置を変えることもできます。また、管理規約で水回りの移動が禁止という物件もあるので、そこも確認が必要です。

排水管の勾配も重要

もう一つ重要なのが、排水管の勾配です。排水管はスムーズに水が流れるよう、傾きをつけて設置されています。

例えばメインの配管からキッチンまでの距離が2倍になれば、同じ勾配にするのに高さも2倍必要。パイプスペースの高さに余裕があれば問題ありませんが、無理に傾斜を緩くしてつなぐと、パイプの詰まりなどのトラブルの原因となることも。床を高くするなどの対応が必要です。

アイランドキッチンを採用し、レイアウトを変更したキッチンリフォーム例。配管を動かすために床をあげる必要が生じましたが、キッチンまわりを小上がりにすることで、理想通りのキッチンを叶えることができました。

ポイント5.中古マンション探しのコツ

これから中古マンションを購入してリノベーションする場合、物件探しが重要なポイントに。どんな点に気をつけて物件を探せば良いのか紹介します。

築年数

マンションの資産価値は、一般的に新築時がピーク。築5年、10年と価格が勢いよく下落し、築20年頃になると価格下落の速度がゆっくり落ち着いてきます。つまり築浅の物件は資産価値が目減りしやすく、築20年くらいの中古マンションなら目減りしにくいということです。

また、築年数は「地震への強さ」の一つの目安にもなります。今の「新耐震基準」は1981年に定められたので、建築確認申請が1981年6月1日以降なら、現行の耐震基準をクリアしています。それ以前の建物は旧耐震基準で建てられているので、もし予算が許すのであれば1981年以降の中古マンションがおすすめです。

大規模修繕履歴

大規模修繕とは、屋上防水工事や外壁工事などの大掛かりなメンテナンスのこと。12年くらいの周期でまとめておこなうのが一般的です。

大規模修繕の費用は、住民の「修繕積立金」から負担されます。周期が早すぎると無駄づかい、遅すぎると劣化が進み資産価値の低下を招くということです。

マンションの修繕履歴は、仲介業者に依頼すれば調べてもらえます。「いつ大規模修繕がおこなわれたのか」「どんな内容だったのか」「今後の長期修繕計画書」を確認しましょう。

また、あわせて修繕積立金残高も調べます。もし近々修繕の計画があるのに、金額があまり貯まっていなければ、購入してから修繕積立金が値上がりする可能性もあります。

まとめ

中古マンションのリノベーション内容は、建物の構造や管理規約などに非常に左右されます。そのため中古マンションの物件探しは、リノベーション業者といっしょにおこなうのがおすすめです。管理規約や構造などを確認して、「希望通りの工事ができるのか」を判断してもらえます。

トータテリフォームセンターでは、二世帯リノベーションの相談会を実施しています。「親との同居に合わせてリノベーションしたい」「マンションか戸建てか迷っている」などなんでもご相談ください。