築40年の一戸建てに安心とゆとりとデザイン性をプラス

4世代5人が同居するHさま邸。奥さまのお祖父さまが建てた築約40年の二世帯住宅は、2度ほど増改築で手を入れていたため、耐震性が気になっていました。建て替えかリフォームを検討し、建て替えでは今と同じ広さと部屋数の再現は難しいと判断したことから、リフォームを決断しました。

どのようなリフォームを依頼されましたか?

 何度か増改築を重ねていて耐震性に不安があったので、長期的に安心・快適に暮らせる家にすることを最優先で希望しました。耐震診断とインスペクションを行い、補強計画を立てた上で確実な構造補強を実施。長期優良住宅化リフォームの補助金を活用し、耐震性に加え断熱、省エネ性能も向上させました。その上で、家族で分担する家事をより効率化して無駄な動きを解消できる間取り・動線・収納の見直しをベストと思えるプランができるまで一緒に検討していただきました。

【BEFORE・AFTER図面】
左:背の高いご家族皆様で使うキッチンは高さ90cmのハイタイプを選択。キッチンの奥は増築して大容量のパントリーを設置 右:キッチンはリビングダイニングの家族と向き合う対面タイプに変更。リビングダイニングには床暖房を設置し、窓は複層ガラスのサッシに交換して断熱性も向上させました

特にこだわったポイントは?

家事を効率的にする動線です。玄関と洗面室を結ぶ動線の間に家族共用のウォークスルークローゼットを設けて、帰宅後は鞄や上着を置いてからの手洗いやシャワーもスムーズに。朝は子どもの通園に必要な物がさっと取り出せて、時短に大活躍。洗濯・乾燥・収納をコンパクトに集約したことで毎日の家事の負担が軽減しました。

ゆったりと設けた洗濯・洗面室。洗濯したものは、パワフルなガス乾燥機にかけて、上のカウンターでたたみ、隣接するファミリークローゼットに収納できる時短動線を確立
左:玄関・LDKと洗濯・洗面室をつなぐ空間をファミリークローゼットに。家族の衣類や日常に必要なものが一箇所にまとまり、乾いた衣類を2階まで持って上がる負担が解消されました。 右:浴槽内と床の掃除機能付きのシステムバスの設置で浴室掃除の負担も軽減。浴室横の壁は掃除用具などをマグネットで貼って収納できるホーローパネルに

提案してもらって良かったことは?

中2階に昔の増築で造られた細長い洋室がありました。その空間の使い道を悩んでいたところ、家族の蔵書を集約するファミリーライブラリーにする提案をしてもらったことがとても良かったです。さらに、2階の主寝室につながる開口部を設けてもらったことで回遊性が生まれ、2階の動線も良くなりました。

左:2階の共有スペースは階段周りに集約。踊り場を奥に行くと中2階のファミリーライブラリー、手前に上がると洗面室、トイレに。天井に天窓を追加して階段ホールを明るく  右:勾配天井の細長い中2階の部屋を家族の蔵書をまとめたファミリーライブラリーに。奥のデスクでオンラインワークも可能。右のステップから主寝室につながり回遊できます
2階のLDKだった部屋を、ご夫婦の主寝室兼趣味の部屋に。天井は梁を一部表しにして黒く塗装し、床はヘリンボーンのフローリング。壁面にはご主人の趣味のレコードやCDを収納できる棚を造作しました。

暮らしてみていかがですか?

もともと、1階と2階それぞれにLDKがある二世帯住宅だったのですが、1階を家族共有のLDK、水廻り、クローゼットと祖母の部屋に、2階を父と私たち世帯のプライベートタイムが楽しめる空間にゾーン分けしました。空間の使い方を見直したこと、収納をしっかり確保したこと、そして家族みんなで分担する家事の効率化にこだわったことで、暮らしにゆとりが生まれたと感じます。

家族でゆったりとくつろぐLDK。ダイニングの壁面にはカウンターテーブルや、親子の趣味である日本酒セラー用の棚、ルーターを設置する上部棚などを造作。リビングにはソファを置かず、亡きお母様が好きだった絨毯の上でくつろぐスタイルに。
1階・2階のトイレには、ゴッホの『花咲くアーモンドの木の枝』のクロスを色違いで採用。和洋どちらにもなじむ奥さまのお気に入り。

担当者スタッフより

リフォームアドバイザー 入江

「優先順位は第一が耐震、続いて断熱、省エネ。間取りやデザインの希望はその次でいいです」とお聞きし、建築の知識と技術を持つ当社にとっては「やりがいしかない!」と感じました。構造面を確実に施工した上で、希望を実現する方法をチームで検討し、造作で対応する箇所などは設計士がパースに起こして、イメージとの相違がないか確認しながら進めました。完成後「パース通りにでき上がって驚いた」と言っていただき、安心しました。